追い詰められたネズミは猫を噛むと言うけれど、苛立った猫はモニターを噛むことがわかった。
まめによるオンライン会議妨害キャンペーンが日に日に激化していく。
叫ばれ、齧られ、追い立てられながら、その不条理な激しさに胸がときめきスマホを構える。
猫に何を訓練されているのかよくわからなくなってきた。
今日の会議では「猫好きのライターさんを探してます」という声に「ライターはみんな猫好きだよ」と返している人がいた。
もちろん冗談だけど、笑ってしまった。そこでの「猫」はただの猫を指してはないはず。さて、なんの隠喩かな。
例の展示の中に日用品や立体物がたくさん紛れているのだけど、あれは全て、日記にもわたしにも無関係なもの達だ。
構成をした人が全然関係ない場所で無作為に選び、意味があるようでない並べ方をしてくれた。
生々しい日々の記録は、文面と情報の取捨選択によってちょっとだけ「わたし」から剥がされ、無縁な物品に囲まれることで、ものものしい場所でも少しだけ息ができるように。
本当かもしれないし、嘘かもしれない。
あの仕組みを提案してもらったことが、一番ありがたかった。
とりとめもないけど、そんな話を、友人の悩みごとを聞きながら思い出した。
本当かもしれないし、嘘かもしれない。そのことを面白がるぐらいが人と人の塩梅ではないかなぁ、とか。