向かいのアパートではおじさんが半裸で階段に座っていて、近所のスーパーでは缶ビールを飲みながら自転車で乗り付けてきた人を見た。
どことなく異国感があるなぁと思いながら、夕暮れどきの千葉のまちを歩いて買い出しに向かう。
暑くて何もする気が起きないので、当面は業務用スーパーのスモークチキンが主食になりそう。一キロも買ってしまったけど、同じものを食べるのは割と平気だ。
ギャラリーで出展者が会場にいることを「在廊」と言うけれど、美術館の目と鼻の先に住むわたしはもはや「在住」に近いのかもしれない。
「展示に行くよ」と「そのあと飲める?」の連絡がセットでくることが増えた。
そのたびに同じコース、同じ店に案内するので、タイでバスツアーを予約すると最後は必ず同じ宝石屋に連れて行かれるあれと似てるなぁと思ったりする。
店主たちには「客を連れてくる人」と覚えられたようだ。このあいだはすっかり仲良くなったスリランカ料理店のNさんが路上で手相占いをしてくれた。
「うちの地下のジャズバー、行ったことないんだけど行ってみる?」
少し前に友人宅に遊びに行ったら思わぬ話になった。そこは日本とは思えない、お洒落なリノベーションマンションで、地下には歴史あるジャズバーまで備えていた。
彼女の家の中を眺めては「パリみたい!」を繰り返す、パリに行ったことがないわたしは、パリにジャズバーがあるのかどうかもわからないけどその渋さに興奮した。楽しかった。
そして今までしてこなかったような話をしてびっくりしたり、しんみりしたり、笑ったり。
誰かのホームに行くのはおもしろい。懐に入る感じがするし、空間ごと秘密を分け合う感覚がある。この夏はわたしのホームにも来客が増えそうで楽しみだ。
などと、感染者数が記録更新した日に不謹慎だけど思ってしまう。危機感は確実に薄れている。明日は茶道教室だし、念のため検査をしておこうかな。