身体をぴったりくっつけながら、寝息をすーすーとたてるまめ。体温も鼓動もそのまま一緒に溶けてしまいそうなほど、安心して寄りかかり、眠っている。
千葉に帰ってきてから、まめが今まで以上にくつろぎ甘えてくる。大移動させることも、まちなかの小さな部屋暮らしに戻ることも、後ろめたく感じていたのでほっとした。でも今日の熟睡ぶりが嬉しいのはそれだけじゃない。
昨日、まめが朝から吐いた。初めてのことでびっくりしたけれど、猫はそういうこともあると聞いていたのでしばらく様子見。しかし一向に食事はとらないし、深夜になってから二度目、三度目の嘔吐はするしでおだやかじゃない。しかも最後は血液混じり。
何時ならいいだろうと悩みつつ朝八時にかかりつけの動物病院へと電話。呼び鈴が長く長く鳴った後、祝日休診のはずの先生の声で救われた。どうやら起こしてしまったらしいのだけど、診てもらえてありがたい。
診断は胃炎。嘔吐と食欲不振以外は、すこぶる元気なので大丈夫だろうとのこと。点滴と注射をしてもらい、薬ももらって帰宅。
まめは病院内をうろうろ冒険しては、先生のバックヤードにまでついていこうとしていた。注射をされても体温計をお尻から刺されてもさして大暴れせず、機嫌も損ねなかったのは偉い。
自分で移動ケージに戻っていったし。伊達に長距離移動の経験値が高い猫じゃないな……と妙に感心する。
ということで今日は格別、まめがすやすやと眠っていることが嬉しい。
大事に至らなくてよかった。まめは猫エイズ陽性の可能性が高いので(来月精密検査)、発症したらあっという間に命を落とすことを覚悟している。
よく眠り、遊び、叫び、甘え、怒るのすら、なんて素敵なことなんだろうと日々思う。
そのことは、ときどき見失いがちな自分の生の価値も照らしてくれる。
千葉に戻ってからの日々は目まぐるしくて、毎日どこかしらに出かけ、何事かに巻き込まれ、腹が立つことも嬉しいこともヒヤヒヤすることも楽しいことも畳み掛けるようにやってくる。
フルコースみたいな毎日だ。いいことも悪いこともほどよい距離がとれているので、調子が戻ってきた証拠のような気がする。
とはいえ流石に身体は疲れ、猫通院後の打ち合わせ、食事の後は頭が痛くてしばらく寝た。そんなときもまめは横ですやすや。
避難前も避難中も避難後も、まめが生活のベースラインとして安心をくれる。すくすく育ってね、まめ。