雨の降るなか、歩いて千葉市美術館へ。
通用口で手続きをし、ゲストパスを受け取って搬入口から入る。
設営中の美術館はせわしない。いつもなら整然としているホワイエや展示室にさまざまな機材と什器が並び、人々が忙しそうに出入りしている。
わたしが目指す場所はすぐにわかった。想像以上におもしろくて、文句なしだなぁと思った。
千葉に引っ越す前後からはじめた公開日記の活動が、まさか地域の美術館で展示されることになるとは。
わたしが主宰する「きぐう編集室」は、今週末から開催される千葉市美術館「とある美術館の夏休み展」に参加する。今日はその展示確認の日。
「編集室」を名乗りながらも今回の展覧会では、別の編集者さんにまるっと身を任せた。わたしは原稿データを渡しただけ。
六百枚に渡る原稿は展示用に少しだけ調整がされていて、構造物にぴたっとはまっている。たった一人による日記が絶妙な距離感で来場者を迎える。
日記を支える構造物は、用途があるようなないような不思議な姿をしていて、ディテールをみるとちょっと不条理な箇所さえある。そこがよかった。
「いいですね、面白いなぁ。これって何ですかねぇ?」と、編集を手がけたSさんに聞くと、「インスタレーションぽさもあるけど違いますしね、なんでしょうね」と笑っていた。わたしも笑う。訳がわからない。そこがいい。
Sさんは空間的な編集をする人だ。本を一つの立体物と捉えている感じでおもしろい。その技巧をそのまま、造形的な表現にまで落とせるから凄いなぁと思う。
他の展示物や作品もわくわくする姿をしていて、会場にいた知人友人とはしゃいでしまった。
上の階では大学の大先輩である、アーティストのNさんも設営中で、お互いの展示を覗いて少しおしゃべりした。まさか展示側になる日がくるなんて。翌日みんなでご飯を食べる約束をする。
人生何があるかわからないからね。と、大家さん先生の名言を思い出す。開幕は土曜日。楽しみ。