自動更新だと思い込んでいた住宅の契約更新書類を見つけた。さーっと青ざめる。
提出期限を十日過ぎていてさらに青ざめる。保証人の実印が必要と気づいてますます青ざめる。
「今夜、判子をもらいに行っていいですか」
とりあえず保証人である伯父に電話をかけ、仕事が終わってすぐに家を飛び出した。
相変わらず髭と髪が伸び放題で仙人のような姿の伯父は、アハハハと爆笑しながら迎えてくれた。
サインと押印をしてもらい、そのままビールと手づくりカレーを頂く。
「くるっていうからご飯つくっておいたよ」とのこと。仙人ではなく神様かもしれない。
伯母は実家の法事で不在で、従姉妹たちもいつの間にか結婚やら転勤やらで家を出ていた。コロナ禍中の情報の届かなさに慄きつつ、カレーを食べながらおしゃべり。
両親と祖母のこと、これからの住宅のことを初めて相談してみた。
明るい人だし、四国の家のことも知っているので、解決はしないが気楽にはなる。話せてよかった。
帰り道に庭でなったのだという桃の実を分けてもらう。食べた桃を育てきるあたりが、実に伯父らしい。
また四国に行くときはまめとネギを乗せて羽田空港まで送るよ、と言ってくれた。伯父もまた四国に行くことになるだろう。