お金があればもっと違う生活になるのかな。
二十代、自分の生活がパートナーという他者に全面的にコントロールされるのが当たり前の頃、三十代前半、別居生活と転職による給料減で貯金削りまくりの頃、ぼんやりとそんなことを思っていた。
家具や食器、衣服、毎日口にするもの。それらは収入によって決まるのではないか、と。でも三十代後半を迎えて、独立してある程度裁量ができて、以前よりもお金のことに悩まなくなったのに、そんなに生活は変わってない。
郊外に引っ越したことで住まいは広くなったし、それに合わせて家具も買ったし、毎月二桁数の本を買うことに躊躇もなくなったけれど、何が必要かとか何が欲しいかとかはわたしの選択であって、本質的には変わりがないんだなぁと気づく。つまりそもそも物欲が薄い。
こだわりがないことはずっとコンプレックスでもあるのだけど、もうどうしようもないんだなと思いはじめている。
以上、思わぬタイミングで手にした高額のAmazonギフトカードを前に、動物用の消耗品と防災グッズを注文して気付いたこと。
(でも「これしか買えない」という状況と、買えるし選択肢はあるけど「これでいい」と思う状況は全然違うものだと思う)
あと生きるペースもやっぱりそんなに変わらなくて、休みの日は倒れるように寝て起きたらちょっと仕事して、散歩するぐらいが程よい。
人の多いところが苦手なので連休中の旅行や展覧会巡りは躊躇してしまう。近所でぼんやり過ごすに限る。
「もはやこれは老後だ」と思っていた世田谷暮らしの二十代の頃を思う。それ家族形態も暮らすエリアも関係なくてただの自分の傾向だぞ、と。
日差しが暖かで散歩日和だ。それだけで幸せだなぁと思う。とてもよい日。