2022年 6月4日(土)

茶入飾り

「うちの子も急に体調崩しちゃったから慌てて病院行ったの。その日はお稽古だったけど、生徒さんたちに急いでお休みの連絡して。猫が一番だから、わたし。それで病院行っても先生に『夫より大事な子なのでお願いします』って言ってビビらせたりしてね」

今日の稽古はじめ、大家さん先生の家でも猫が大変だった話が出た。猫さんも無事だったようだし、先生らしい話しぶりだしでほぐれる。

夫の話はさておき、うちの子優先、と、言える真っ直ぐさは羨ましいなぁと思う。わたしだって近い気持ちだけれど、やっぱり人目と世の価値観を気にしてぐうと飲み込みはするし、今回は仕事かぶりが少なくてよかったと内心は思っていた。

今日の稽古は、「茶入れ飾り」。由緒あるお茶入れを使う際に、いつもより大事にして扱うというか、主役として目立たせるような点前だ。

最初から「これ、いいやつなんです。見てください」とわかるように運び込み、所作の最中も茶入れの下に特別な布を敷いて扱う。

匂わせどころではない。あからさまなアピール。でもそれはむしろ客人への親切みたいなものとして執り行われる。客人も客人でスルーしないのがマナーで、「ずいぶんご由緒のありそうなものですが…」と切り出す問答まで決まっている。

今回もまた本番なき練習の楽しみを味わいながら、完全に創作としての「由緒」を答えたのだった。お茶はやっぱりいろいろ変で、おもしろい。






 

夕方はまめの通院。口内が腫れていて、やはり歯周病がひどいようだった。血液検査もエコーもレントゲンもその場でできる施設だとは思わず、まめと一緒に目を白黒させながら検査結果を待った。

結論としては抜歯手術が必要とのこと。猫エイズキャリアであるまめは免疫力も低いし、細菌感染が起こりやすい状態は少しでも取り除いた方がいいと聞き、二つ返事で手術を申し込む。

保険の効かない動物の治療費はなかなかのもので、猫風邪治療から検査、次の手術代含めて二桁万円を超えるのはあっという間だ。

蓄えのある年齢でよかったなぁと思う。子どもの頃、親の方針で、飼ってる動物の餌代まで自分のお小遣いから出して辛かったことを思い出す。何が辛いって自分の資本力の有無が動物の命を左右するという重みが辛かった。無力だと思ったものだった。(今思うと我が家の方針はなかなか厳しすぎだと思う)

でもお金を積んだところでどうにもならないことも世の中にはあるわけで、これでどうにかなるならなってほしいなと思ったのだった。まめ、がんばれ。

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