日曜日を浜松で迎える。
青空がまぶしくて、二日酔いの頭に日差しが刺さる。痛い痛い痛い。
飲みすぎて喋りすぎた昨夜のことをポツポツと思い出しながら、皆も忘れていることを心から祈る。
昨日、抱えていた仕事をなんとか前に進め、寝不足のまま新幹線に飛び乗り、浜松のシンポジウムに参加した。
紙飛行機やおもちゃが飛び交うなかで壇上に座って話すという珍しい経験をした。自由に過ごす人たちが最前列にいることは、気持ちも柔らかくなるし飽きないしとてもいい。わたしは好きだなぁと思う。
そもそも一箇所に座ってられないタイプなので、心身ともに静的な環境とかモノラルな時間が苦手だ。こういう場所の方が落ち着く。
が、そうでない人にとってはどうなの? みたいなことがシンポジウムの話題でもあったので、うーんと唸る。
どうなんだろうな。日本社会において多くの物事はちゃんとしていて静かで整理されているから、こういう環境もあることとが周知され、そこへのアクセスが確保されてほしい。で、そのアプローチ方法とはなに? と聞かれると、今の仕事が答えのつもりではあるけど……いろいろまだまだ。
そんなことを考えはじめると止まらなくて打ち上げでお酒に飲まれたのだった。
しかもその宴の場で、ある大大大先輩と再会した。一方的に因縁のある人だ。
七年前、仕事の場で、「お前の野心はなんだ? 野心もなくなんでそんなに頑張ってるんだ?」という問いかけをぼーんと投げてきた御仁である。あの日初めて仕事現場で大泣きした。
なのでこの機会を逃さないよう、思い切ってそのときの話を蒸し返してみた。
野心がないことを突かれて、すごく悩んで悔しくて、でも七年忘れず考えてきたこと。いまだ見つからないが、いい問いかけでおかげさまで今があること、キム・ウォニョン『希望より欲望』を読んでいてまさにその話だったことなどを口にしてみた。
思ったとおりご本人は忘れていたが、「自分もまた野心がないことがコンプレックスだから、そういうこと言ったんだと思う」という意外にもやさしい返答に気持ちが和らいだ。笑って話題にできたし、もう一回関係を結べなおせたように思う。
最近、ちょっと大胆になった。引いてみたときによいことかどうかはわからないけど、健やかではある気がする。
歳取るのは悪くない。七年前よりずいぶん気楽になった。