「場所がわかりにくいから、待ち合わせしてから向かいましょう。ここに集合で」と、送られてきたリンク先は、都会の交差点の座標だった。
交差点……? と思いながらも、地図のピン通りに立っていると、お世話になっているGさんが現れた。
そのまま後ろをついていく。首都高の影に住宅街が現れ、路地をぐねぐね進むうちに行き止まりへ。小さく光る看板の奥に進むと、そこは品が良くて明るくてこじんまりとした寿司店だった。
その後の記憶はほとんど、グルメ漫画の実況みたいな味の名場面ばかり。とても美味しかった。
途中でおそるおそる「お世話になっているのはわたしのほうなのに、なぜご馳走してくれるんですか?」と聞いてみる。
「いや! 先にご馳走してくれたじゃないですか。お寿司」とのこと。……記憶にない。たしかにお寿司を食べたことはある。支払いは……記憶にない。
どうやらあの日、四人分のお寿司代を気前よく出した酔っ払いのわたしに、寿司払いで返してくれる会だったらしい。たぶん他二人はまったく気にしてないだろうに律儀な人である。
こっちの方がずっとお高いんじゃ……と思いつつ、居合わせたお客さんとわいわい喋って過ごす。大将もやさしくて気さくで本当にいいお店。お寿司を笑いながら食べられるお店って珍しい。
今夜はとある案件の打ち上げも兼ねていて、それについては誰とも悔しみを分かち難かったので、Gさんが覚えてくれていてよかった。だいぶ報われる。
なんだか連休明けから贅沢をしてしまった後ろめたさもありつつ、人生ベストワンお寿司に感動した。ご馳走様でした。さぁ、頑張って働こう働こう。