約束の五時間前に渋谷に着いた。
大丈夫、こんな賑やかなまちならいくらでも時間を潰せる。
……と思ったけれど、案外そうでもなく、心もとない気持ちでうろうろする。だいぶ様子が変わった気がする。街が若くなったのか、わたしが年老いたのか。
どこで過ごせばいいのかわからず、行き当たりばったりで歩いていると、SFの宇宙船のようなジャニーズショップに出会ったり、遊園地みたいな任天堂ショップにたどり着いたりする。それはそれで面白いけど、アウェイではある。
知っていたお店がどんどん無くなっていて、街行く女の子たちはみんな若くてアイドルみたい。マンバギャルまで見かけて不思議な気持ち。
結局落ち着いて時間を過ごしたのはユニクロで、これじゃ渋谷の意味がないなと思う。
夕食は薬膳料理のお店へ。
待ち合わせをした友人が、調子が悪くて食べられないかもというので、なるべく身体にやさしそうなものを選んでみた。
が、パクパク食が進んだみたいで一安心。たくさん喋ってたくさん食べた。人生の門出は人と話すに限ると思う。
渋谷は若くなったねぇ、と、渋谷で出会った友人としみじみしながら帰途に着く。私たちはあの頃から十年分歳をとり、街は変わらないってことなのかな。