2022年 6月10日(金)

鍼だより

まめの早起きもたまには役立つもので、寝坊することなくはやめのグリーン車に乗った。たどりついたのは海に近いまち。

春から月一回、変わった仕事をしている。会いに行く人も、聞く話も、訪ねる場所も、わたし以外の人が決める企画。なのに話を聞く主体はわたし。しかも仕上がりはテキストではなく動画で、自分の気配をゼロにしないといけない。

後から編集することが難しく、話し手の表情やテンションがそのまま残るメディアで、安心して楽しく話してもらうのが役目だ。

これがなかなかの修行で発見も多い。今日もまた雑誌の中のようなお宅を訪ねて、その人の世界にポチャンと潜る。いつもと違うモードで出会う世界には、思わぬ知恵が落ちている。

帰り道の電車では、ひねくれ仲間に今日の発見と感動を共有する。ひねくれてちゃだめだねとうなづき合う。






千葉に戻ってきて向かったのは鍼灸院。ここ一週間ほど体調がおかしくて、何もできない。

施術が終わったころにはへろへろで、歩くのもおぼつかず喫茶店で休んでから帰宅。あちこちが小さく痛み、細かく痺れ、熱くなり、力が入らず、全体的にちぐはぐで、宙を泳ぐような感じ。

それでも時間が経つごと各部所が少しずつ落ち着き、冷めたところはすっと軽くなる。鍼、すごい。昔担当してもらっていた先生は無痛鍼だったし、灸も熱く感じさせない派の人で、もっと穏やかで温泉みたいな施術だった。今日の鍼灸はどちらかというとキツめのお酒みたいな感じ。

秘孔を突き、相手を倒す漫画の技、今なら信じられるわと思いながら、よくなったのかどうかまだわからない身体を転がして週の終わりを迎える。

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