千葉に戻ってきて十日。
生活の裁量を一度手放して、ふたたび手にすると、それまでおざなりにやっていた家事に対して欲求が生まれてきた。とりあえずできるだけ簡単に、楽しく、気持ちのいい家事がしたい。
実家だと家事が任せられて楽だったでしょう? と聞かれることもあるけれど、そうでもなくて、自分のことを自分のやりかたでできる幸せもある。
帰ってきてまずは食器を使用頻度別に分け、普段使いの食器を最小限にして棚を使いやすくした。
いつか食べるかも使うかもと残していた食材や衣料を思い切って処分した。
美味しくて安い青果店を探し、必要量だけ隔日で買うようにした。
毎日の基本メニューは蒸し野菜とスープにして、献立で悩まないようにした。
セーターを必ず手洗いするのはやめて、洗濯機の「柔らか仕上げ」を信じることにした。掃除機がけは思いついた時に思いついたところだけやるでも許すことにした。
ちゃんとしてなくてもいい。周囲と比べなくていい。自分で納得がいっていればいい。
でも納得いってない、気持ちが悪いままの家事は生活にも心身にもよくないので見直す。
その視点で眺めると、自分の中に妙なこだわりがあったりなかったりすることに気づく。面白い。思えば誰かと暮らしてきた時間がそれなりに長くて、「家事における自我」みたいな存在(なんだろうそれは)を押し殺してたのかもしれない。
とりあえずレンチン蒸し器と干し椎茸は万能で愛おしい。新鮮な人参は毎日食べても飽きない。ラーメンは美味しいけどそのあと数時間胃もたれで動けなくなる。……ということはよくわかった。