戻ってきたまめを嗅いでみると、全身から病院の香りがした。
わたしですら気づくのだからまめはもっと気になるだろう。それでも機嫌よくお腹がすいたとか遊びたいとか訴えてきて、跳ねたり寝たり忙しい。
まめは病院にも先生にも看護師さんにも懐いている。だというのに猫を前にすると固まってしまうのには笑ってしまった。
今日は先生の愛猫のヒメちゃんがなぜか診察室で待ち構えていて(そういうところ、あの病院はざっくりしている)彼女を見つけた途端にフリーズ。
一歩も動けず鳴くのもやめた。他の猫が苦手らしい。
そういえば昨日も窓越しに野良猫に威嚇され、走ってわたしのところまで逃げてきた。「こりゃ自分は人間だと思ってるね」と先生が笑っていた。
去勢手術を受けてきたまめの手術痕は、赤黒くてさすがにまだ痛々しい。
人間都合でごめんよと思いながら今日は仕事の合間にまめの相手をしつづけた。来週には精密検査の結果も出る。
まめがきてからやることは増えた。まめがきてから眠れぬ夜がなくなった。まめよ仲良くやってこうね。