少しずついろいろ緩んできたんだなと思う。
今週はとても久しぶりに週六日ほど県外仕事だし、昨日は大学の講堂で仕事をテーマにした対面講座を担当した。
そもそも何十人もの人を前に話すこと自体が懐かしい。この二年間はオンライン登壇ばかりだったので、目を輝かせたり、メモを取ったり、質問しに並んでくれたりする学生さんがみんな天使のよう。
専門性の高い授業ではなくて、具体的な仕事の話をさせてもらったのもありがたかった。みんなどんな人になっていくのだろう。きっと楽しいことばかりだから頑張れと念を送る。
数年ぶりに訪れた母校がある場所は、生まれ育った地元でもあるのだけれど、こんなに緑豊かだっけと驚きながら歩いた。
記録魔だから残したら忘れてしまうのか、忘れっぽいから記録魔なのか、どっちなのだろう。
昔のことはすぐ忘れてしまう。大学のこともそう。その前のことももっとそう。
大学もさして変わってないはずなのに懐かしいというより新鮮だった。
故郷とか母校というものに愛着が湧きにくいのはそのせいだと思う。でも嫌いとかそういうわけじゃないのだ。
大学関係の仕事で、学生時代の同級生や知人がたくさん関わっていると聞き、そうかそうかいいねいいねと思いながら、自分はもっともっと遠くに行こうと思った。
忘れっぽい上に天邪鬼なのだ。もっともっと知らない場所をたずねてみたい。知らない人に会ってみたい。怪我するぐらいはかまわないから、予測の外に足を踏み出したい。
里心がないところが、わたしのいいところなのかな、なんて思った日だった。幼少から憧れ続けた緑豊かな美術大学はもちろん素敵な感じの場所だったのだけど。
明けて本日は銀座へ。
いつの日かここの記憶も薄れていくのかなぁと思いながら過ごす。
自分が通うことになるとは思っていなかった歴史ある雑誌社の片隅で、なぜか山盛りのさくらんぼをいただいた。美味しかった。