2023年 1月2日(月)

順調な経年

朝から一年遅れのヒットソングを聴いている。

年末の振り返り特番や紅白のラジオで耳にして、世間的には今更なほどのメジャー曲が気になっては、にやにやしながら聴いている。

本人は新鮮なのでそれでよし。年々いろいろ鈍くなってるなぁと思う。その分、年々ちいさな幸せを感受しやすい体質になってるなぁと思う。

順調な経年なのでは。






今回の年越し準備は、となりまちの畑からはじまった。

大晦日。M氏が週末ごとに通っている農園をはじめて訪問。

「絶対に長靴の方がいい」と言うので、途中でワークマンに寄って安い長靴と手袋を調達。たどり着いた先は広い野菜農園で、ふかふかの土に足を取られながら確かに必要だったなと思う。

市民農園としてレンタルされている端の区画で、大根、小松菜、ちぢみほうれん草、ネギ、ブロッコリー、キャベツを収穫。新鮮なので年越し食材が手に入って嬉しい。

農園には市民農園や出荷用野菜畑のほか、作業小屋、かまど、ピザ釜、竹林、焚き火スペースなどがあって、いろいろな人が出入りしている気配がする。M氏も農園主さんの畑を手伝ったり、餅つきに混ざったりしているらしい。

散歩して待っているうちに農園主さんが現れ、ご挨拶。ミニ白菜とつきたてのお餅をいただいて、少しおしゃべりした。

「パートナーとはとにかく楽しい時間を過ごすのが第一。いいよね。楽しく過ごすんだよ! それだけで大体乗り越えられるからね。がっはっは」

聞いていたよりずっと陽気な主は、もうすぐ七十三歳で、ご本人曰く「結婚二十数年でシングルになった」らしい。「僕には一対一のパートナーシップはないんだけどね」と言いながら、「農園を真ん中にたくさんパートナーがいる日々は楽しい」とにこにこしている。M氏も農園主さんの『パートナー』の一人で、「僕はね、野菜を育ててるふりしてM君を育ててるの。野菜は道具だね!」と悪戯っぽく笑っていた。この人の周りにはたくさんの人が集まるらしい。東京にいろいろ置いて、UターンしてきたM氏が、スポッとはまったのがその農園だというのにも納得した。

そしてわざわざその話をわたし達にしてくれたのは、「規範に縛られず、自分たちらしく、好きに過ごしなさい」というエールなんじゃないかなと思う。ありがたい。

同時に、わかりやすくコンパクトな関係に縛られず、たくさんの縁や線を持っておくことが大事だなと改めて感じた。強い約束やルールに縛られない縁や線が豊かな方が、頭でっかちになりすぎず想像力を保っていられると思う。農園主さんのように。そこは本当に気をつけたい。モノラルな関係は「わたし」を殺す。

それにしても、わたしは大家さん先生だし、M氏は農園主だし、最初に紹介する相手がお互い変てこだ。

二〇二三年は、わたしもときどき農園仕事に混ぜてもらおうと誓った。長靴も買ったし。






そんな事情でやってきた、となりまち生まれの野菜は、そのまま年越し鴨葱蕎麦の具材になって、翌朝には鴨雑煮の具材になった。

だらだらと交互に調理台に立ちながらお酒を飲む。いい年越し。

元旦は千葉神社で初詣をして、その後はお餅を焼きつつ、猫型の白張子に描き初めをして遊んだ。

よいお正月だった。






それにしても二〇二三年は、なかなか波乱の年になる気がする。

独立仕事は六年目、千葉生活も七年目。「そろそろ飽きた」からはじまる変化へのむくむくした欲求は、強いストレスと刺激を運んでくるはず。ただでさえ暗いご時世に、じっとせず動くのは傷つくことも多いに違いない。でもきっと動いてしまう。

なんでこうも落ち着かないのかなぁと思うけど、アクセルを踏みながらハンドルをぐいっと切り替えたい欲求がむくむく。

農園主さんの言うとおり、まずは楽しいかどうかで決めていこうと思う。道標はそれしかない。本年もよろしくお願いします。

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