秋や春の存在をたよりなく感じるのは、曖昧な季節だからだろうか。
寒いとか暑いとか強烈な気候こそが主役で、秋春はその移行期間というか、主従でいうと従的なところに置いてしまってる気がする、自分の中で。
だからか、季節の変わり目は「時間がないぞ」とせき立てられているようで落ち着かない。
特に秋や春はすごく気持ちがいいのに、「次がくるぞ、急げ」と囁かれている感じがする。
本当は穏やかな気候をただ楽しみたい。難しいけど。
冊子や書籍の編集は不得意なのに、思わず受けてしまった仕事が想像以上に大変で、日々追いつめられている。
ページ物をつくれないわけではないのに、苦手意識はどこからくるのかなと心の奥を辿っていくと、どうも「当たりのつかなさ」が怖いらしい。わたしの僅かな経験値では、百五十ページ以上の厚みは予想がつかないブツになる。
当たりがつかないものは、とにかく試作しながら修正するしかない。二十回近く構成や目次や台割を見直して、著者の方々と原稿のやり取りを繰り返して、あれが足りないこれが余分だ……と、しつこく愚直に整理作業を重ねてようやく全体像が見えてきた。
作業量の見積りにしくじり、予想の五倍ぐらいは時間がかかっている。アシスタントさんともども疲弊しているけれど、それでも良いものができそうな予感がしてきた。よかった。わくわくわくしている。意義深い仕事ではある。
そんなこんなで大量の原稿に触れたり、大量のメールを書いたりしているうちに、日記の更新が止まってしまった。一日のテキスト量に上限があるのかな。
この間に、着物が秋物の袷になって少しだけ上手に着られるようになり、お好み焼きの焼き加減もようやくコツが掴めた。
ずっと秋ならいいなぁと思う。厳しい冬の準備期間ではなくて、秋を秋としてもう少し浸かっていたい。